ミステリー小説・SF小説・ホラー小説の投稿サイト・ShortSTORY・ジャンル別にページが分かれています。

小説 投稿 サイト・短編・掌編・長編。ミステリー小説・SF小説・ホラー小説の投稿

SF/ホラー/ミステリー

『怖くないよ』

晴美著



大学で知り合った晴美は恵まれない家庭に育ったこともあってか、骨があって豪胆な性格だった。
学部内の旅行で宮崎に行ったときも、乱気流で機内が揺れるなか私は死ぬ思いでいたのに対し、彼女は横で何も言わず平常通りだった。あとで聞くと
「ああいうときは、力抜いてるとラクなんだよね」
と笑っていた。
そんな彼女が、彼氏にフラれたと打ち明けてきたのは初夏の初め。
電話が彼女からあったのは、その日の夜。
「ねえ、町外れの、あの幽霊出るっていう廃墟にいってみない」
フラれた自棄からか、心なし彼女の声はいつもより暗かった。家ま迎えに来てくれた彼女の車で町の外れまで行く。ドアを閉めると、虫の声と、草の香りが私たちを歓迎してくれた。
「ねぇ、やっぱり」
という私を遮って晴美は私より先に立ち−怖くないよ、と歩き出す。廃墟は真っ暗で一歩先を行く彼女の背中が見える程。
イスや、箪笥が転がって散乱する。
彼女が、どこまで行くのか分からない。
止めた方がいいのかも分からない。
でも何もできなくて、私は晴美についていくしかない。するとふと嫌な予感がよぎる。もう我慢も限界だったので、
「ちょっと、今日のあんたおかしいよ。彼氏にフラれたって、今日のあんたは」
と言おうとしたとき、ずっと歩いていた晴美はふと立ち止まった。そして、その彼女の隣に上からたれている何かがあるのに気づいた。−人の足。凍りつく私に、晴美は振り返り自然な笑みで
「怖くないよ」
とニマリとほくそ笑んだ。その目は白く、瞳がなかった。そこからあとは私は無我夢中で駆けた。彼女を置いて脇目もふらず駆けた。
そのあとのことはよく覚えていないが、気づいたら母に「大丈夫、大丈夫だから」と押さえ付けられるようにソファーに横になっていた。
彼女は次の日から大学に来なくなり、それ以来8年、晴美には連絡していない。彼女がどうなったかも謎だ。
それでも思い返して、思う。あの夜ぶら下がっていた足は、首吊りの死体の足で、暗かったけど、その上にある顔は−。
「怖くないよ」
白目の彼女が後でほくそ笑んでいる気がする。

小説のコメントコメント
この作品の著作権は、作者である 晴美 さんに帰属します。無断転載等を禁じます。


2018/07/21 23:21 晴美



このページの先頭に戻る ↑ 

はじめての方へ

小説投稿サイト・ShortSTORY

小説投稿サイトとは?

ミステリー小説・SF小説・ホラー小説の投稿。短編・掌編・長編オンライン小説/ネット小説投稿サイト『ShortSTORY』、ミステリー小説・SF小説・ホラー小説の投稿が無料。感想やコミュニティでの意見交換など

坂口安吾のすべて
チェンマイのレンタカー
レンタルバイク【チェンマイ】
チェンマイ・焼肉・日本式
チェンマイ・居酒屋・日本料理・和食・ガガガ咲か場