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『∞次元の時間』

積 緋露雪著



誰が時間を数直線の如き一次元と決めたのか。
そもそもの間違ひが其処に《存在》する。

時間もまた、《存在》するならば、それはどうあっても∞を目指してゐるに違ひない。

――だが、時間が∞次元と言ふ証左は?
――ふっ、では時間が一次元と言ふ証左は?

何の根拠もないのだ。時間が一次元である根拠など此の世にそもそも《存在》しない。
時間が∞次元ならば、物理数学はパラダイム変換をせざるを得ず、
誰も時間が∞次元とは言へなかったのだ。

――では、時間が∞次元だとすると、《世界》の様相はどうなるかね?
――ふっ、そんな事は幽霊にでも呉れちまへ!
――えっ? またぞろ幽霊?
――さうだ、時間が∞時間といふ事を身をもって知ってゐるのは此の世では幽霊しか《存在》しないのさ。
――すると此の身の背は時間が∞次元といふ事だね?
――瞼裡ですら既に時間は∞次元だらう?

何故にか目を閉ぢた瞼裡に過去・現在・未来、
つまり、去来現(こらいげん)が攪拌されて、
エドガー・アラン・ポーの『メエルストリームの大渦』の如く
時系列の轍から遁れるやうにして解放されし。

時間とはそもそも去来現がぐちゃぐちゃに掻き混ぜられた様相をしてゐて、
唯一、此の世に存在するのは現在のみで、過去と未来は夢現と同じ様相にある。

――ならば、過去と未来は入れ替はる?
――当然だらう。


詩/短歌/俳句のコメントコメント
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2019/10/23 06:05 積 緋露雪



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