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現代小説/歴史小説

『流離う貴女 A』

東雲 氷雨著



 「それで?言伝てとはなんですか?いえ、それとも

不法侵入について説明いただく方が先ですか?」

 「その節は申し訳ございません。何せ火急のようで
ございまして・・・。大家さまに許可はいただいて
いたものの、うら若き女性に対して配慮が足りませんでした。誠に申し訳ございませんでした」
 
「うら若き女性ですって?」

はっ?私に対していったの?この万年喪女に?

 「えっと、そ、そうでございましょう?も、もしや!?私はまたしても佐倉様にご無礼を働いてしまいましたか!?」 

 「いや、許す」

 「さ、左様でごさいますか」

ええ、私は立派なレディですから?許しますとも。・・・言ってて悲しくなってきた。

 「それで?その、みおう様って誰?」  

 「違いますぞ!お・う・み様にございます近いに江戸の江で近江様にございます!!」

 「あ、なんかすみません。それで、誰なんです?」

 私がそう尋ねると、高見さんは信じられないものを見るかの様に私を見た。

 「も、もしやお知りではないのですか!?あの一代で三大財閥入りを果たした近江グループを!!」 

えーと、そう言えば昨日もテレビでそんな人見たような・・・?気が?しなくもないかなぁ・・・。

 「すいません。なんせ頭が悪いので、記憶力も無い上に政治や経済にも疎いんで・・・」

あ、高見さんが白目向いてる。面白いな。壮年の執事がこんな表情するのってレアじゃないかな?

 「今、なんと?昔はあんなにご聡明でじいやと私を呼んで下さっていたのに!!」
微妙に失礼だな。それに、なんの話ですか。記憶に無いですよそんなの。そもそも私は苦学生なんですよ?財閥にゆかりなんて無いですって。

 「いえ、知りません。人違いでは?」

 「相違ございません。あなた様は立派な近江財閥のご息女です!」

あ、この人ヤバイ人だ。もしかして本当に案件になるやつじゃないか?今から携帯の準備を・・・。

 「あぁっ。ちょっと、何をしているのですか!!?110番しないでくださいませ!!不審者ではございません!!視線まで冷たい!!」

 「いや、騒がないでもらえます?他のお客さんに迷惑です」

高見さんはその言葉によってさらに縮こまったのであった。シュンとした姿がやはり小動物のようだ。

 「はぁ、まぁ、やり過ぎました。ごめんなさい。それで、言伝てとはなんですか?」

あ、生き返った。目の前の小動物もとい高見さんはキラキラと目を輝かせて私を見た。

「はっ。それでは失礼いたします」
そう言うと、高見さんは一通の便箋を取りだした。

「拝啓、佐倉 友江様。立冬を過ぎ、朝ごとに冷気が加わるこの頃。心身ともに引き締まります。さて、早速ではごさいますが本題に入らせていただきます。と言うのも、本日ご連絡させていたいだきましたのは、貴女のご両親についてお話を致したく、このような形でお呼びかけさせていただきました。急なことで申し訳ございませんが、この文をお読みになられていらっしゃるなら、即座に我が家へお越しくださいませ。それでは、あなた様のご来訪、心よりお待ち申し上げます。敬具」

「と言うことですので、どうかご同行願います」

高見さんの声が、まるで意味をなさないただの音のように聞こえた。
何故、そんな人物が私の両親を知っているのか。
何故、その人物のことを私は知らないのか。
何より、近江とは誰なのか。
ひとつとして分からない中、私は高見さんについて行っても良いものか。
いろんな事が私の頭のなかでクルクルと回って、もう意味が分からない。
キャパオーバーになった私は唐突に立ち上がると、高見さんにこう言った。

 「誘拐ですか!?」

 「何故そうなるんですか!?」

         ー続くー

小説のコメントコメント
この作品の著作権は、作者である 東雲 氷雨 さんに帰属します。無断転載等を禁じます。

流離う貴女のつづきです。大分遅くなってしまいました( ̄▽ ̄;)
2018/11/17 23:34 東雲 氷雨



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