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現代小説/歴史小説

『@北の…(明24、岐阜大地震、世界最大規模の直下型・明35、英視点)7/15修正』

ぷーでる著



『明治24年、濃尾地震』

明治24年(1891)10月28日、朝6時37分……
岐阜の各地の村や町は、突如、大きな地響き共に、
突き上げる様な大きな揺れが襲った―

村の通り道にあった地蔵が、4,5メートル先の
水田まで移動してしまうほど、地殻変動を起こす。

山々が土砂崩れを起こすー
行き場を失った村人達は、立ち往生している間に

堤防が決壊し洪水となったー
取り残された村人達は、土砂によって出来た
ダム湖の中へと飲み込まれていく。

金華山も、地鳴りと共に、崩れ落ちていた。
長良川にかかる、長良大橋は
業火に包まれ、轟音と共にひしゃげて、
川の中へと崩れ去っていった。

マグニチュード8.0を、指した時点で
震度計は、へし折れ観測不能となる。

大きな揺れに驚いた、城下町の人々は
慌てて家を飛び出した。

ちょうどその時、炊事をしていた家があって
かまどの火を消していなかった。

そのせいで、あっという間に町は、火の海に覆われる。
少年と父親が、瓦礫の町と化した様子に
茫然と立ち尽くしていた。

「わしは、町で困っている人がいないか見てくる
         お前は、先に裏通りの広場で避難していろ!」

消防団である、父親は、町の人達を見捨てて
逃げるわけにはいかないのだ。

「ええ?」
少年は、オロオロする。

「これを持っていけ。何処で、ならず者が襲ってくるとも限らん
  襲われそうになったら遠慮なく、返り討ちにしろ、いいな!」

父親が、少年に小刀を手渡した。

「……」
少年は、小刀を手に黙る。

「早く行け!」
父親が、少年の背を押す。

少年は、走り出す―

多くの建物が倒壊し、町の光景は、
何処まで行っても瓦礫だらけ だったー

ようやく瓦礫の無い所まで、さしかかった時だ―

再び、余震が襲った。
震度6は、あるかもしれない。いや、それ以上か?
立っていられない揺れなので、立ち止まる。

広い通りで、少年の足元の地面が、不気味なキシミ音共に
カミナリ型に突如割れた―

そのまま、落下しかけるが、咄嗟に、
地割れの淵に、しがみついて難を逃れる。

周りにいた人々の何人かが、悲鳴をあげながら
次々に、1メートル近くもあろうかという
深さの地割れに、転落していった。

少年は、這い上がろうとするが、再び余震が襲う。
そしてまた、落ちかける。

「坊主、掴まれ!」
少年に手を差し伸べたのは、紙問屋のおじさんだった。

「あ、ありがとう」
少年は、地割れから引きあげてもらうと、お礼を言う。

「おーい、助けてくれ!」
地割れの底から、人の声がした。

「おお、生きていたか!」
おじさんが、地割れをのぞき込む。

「子供もいる、引きあげてくれ」
地割れの底で男が、小さな女の子を抱いている。

「九条家の娘さんじゃないか」
「そうだ、何としても助けないと」

男は、小さな女の子を高く抱き上げて、地割れの淵の上にいる
おじさんに、何とか引き渡したー

その途端、再び余震が襲ったー
地割れの激しく、きしむ音が地面に響き渡る。

おじさんは、女の子を抱いたまま転倒したー
少年も、立っていられず、地面に倒れる。

その時だったー
地割れの底から「うわぁ〜!」という、
男の断末魔が聞こえてきた。

余震が収まり、後ろを振り返ると、さっきまであった
カミナリ型の地割れが、完全に閉じていたー

 閉じてしまった地割れから
 男の片腕だけを、のぞかせている。

「う……」
 少年は、塞がってしまった、ひび割れから出ている
 男の片腕を茫然として眺めた。

「……」
おじさんは、どうする事も出来ずに、しばし黙った。

男は、地割れに挟まれて
帰らぬ人となってしまったのだ。

「おじさん、どうしよう?」
少年は、塞がってしまったひび割れを茫然として眺めた。

「……」
おじさんは、しばし黙った。

「一緒に、裏の広場まで避難しよう」
「うん」

少年は、おじさんと、九条家の娘を連れて
町を抜け出した。

町を抜けると急にへんぴな場所へ出た。
もうすぐ、広場へ着くー

ところがー
そこへ、チンピラ風の男が
「お、かわいい娘じゃないか?」と言って
近寄ってくるなり、九条家の娘の腕を掴んで引き寄せた。

「加代さんに何をする?その汚い手を離せ!」
おじさんが、チンピラに向かっていった。

「うるせぇ!じじい!!」
チンピラ風の男が、おじさんを突き飛ばす。

「あっ!おじさん?大丈夫!」
少年が駆け寄る。

「わしは、大丈夫だ。それより加代さんが……」
おじさんは、痛そうにしていて起き上がれない。

そうしているうちに……

「こいつは、高く売れそうだ。キレイなおべべを着ているし
たいそう、いいとこの娘だろう。いい気味だ」

チンピラ風の男が、小さな女の子の腕を引っ張っていく。
少年は、急いで後を追った。

「いや!離して!」
小さな女の子が、抵抗して足を踏ん張った。

「へっへっ、かわいいねぇ」
チンピラ風の男は、嫌がる娘を抱き上げ肩に担ぐ。
そのまま、歩き出す。

「あひっ?」
娘を担いだ、チンピラ風の男が突如、よろけた。
そのまま倒れてしまう。

少年が背後から、ヒザ裏を蹴ったのだ。
そのスキに娘が抜け出す。少年の後ろにまわり
不安げな顔を浮かべる。

「クソガキッ、やりやがったな!」
チンピラが、起き上がり少年に向かってきた。

「ひゃっ?」
チンピラが、手を引っ込め悲鳴をあげた。

少年から、娘を奪おうとした瞬間に小刀を抜いたのだ。
チンピラの手から、血が流れ落ちる。

「近寄るな、一歩でも近づいたら次は、てめぇの目を潰す!」
少年は、小刀を手にチンピラを冷徹に睨む。

「ひっ!」
チンピラは、急に怖くなったのか、
小さな少年相手に、体を震わす。

「あっ、加代さん!」
「こいつか、加代さんをさらったのは!」
「ふざけんな、このチンピラヤロウ!」

あとからやって来た、町の人達がチンピラを囲み
一斉に、ボコボコにしだした。

「ぎゃ〜、お助け〜!!!」
チンピラが、情けない悲鳴をあげた。

釈放されたのは、着ているものが
ほとんどワカメ状態になってからだ。

「よくやった、英ちゃん!」
「えらいな、商売敵の娘なのに助けてあげて!」

町の人々が、少年を褒めたたえた。

やがて、町の人々は全員、町はずれの広場へ避難してくるー

少年の父親も無事にやって来たし
九条家の家族も、広場へ避難してきた。

皆で、急遽、避難小屋を建てて、
そこで過ごす事にした。

遠くに見える町が、まだ燃えていた―
夜になると、地獄の様に燃える町の姿が暗闇に、浮かび上がる。

焦げ臭い匂いが、ここまで漂って鼻をつく―
町の火災が、収まったのは、29日の午前11時頃だった。

濃尾地震は、半年に渡って震度6の余震が続いたというー
その間、山々から大きな石が転がり落ち続けている。

けれども、町の皆で何とか震災を乗り切ったのだった。

 

 『父息子のすれ違い』

 明治三十五年―
 濃尾地震による、爪痕はもうない。

 岐阜、金華山のふもと―
 トテ馬車がラッパを鳴らしながら通り過ぎる―

 行き交う商人たち―
 商工業で賑わう城下町が、ここにはある。

 傘屋に、酒屋、紙問屋……
 その隣に、ひときわ目立つ小林呉服屋が建っている。

 瓦屋根に、うだつの上がる屋根。
 隣家からのもらい火を防ぐ防火壁だ。

 これが出来るのは財力のある家だけで、
 普通は出来ない。

 近々開戦されるかもしれないだろうと
 言われるロシア開戦の為に、日本海軍へ資金援助もしようと
 太っ腹のオヤジは、考えているらしい。
 
 その裕福な呉服屋の長男が俺、小林英俊だ。

 「そろそろ、お前も嫁をもらう年だ」
 父親が機嫌の悪そうな顔で、キセルを吸いながら、呟く。

 「俺に呉服屋を継げと?」
 俺は怪訝な顔をする。

 「当たり前だ、それが長男の務めだろう」
 「俺、絵描きになりたいんだ」

 「お前に良い、見合い話がきているんだ」
 「俺には、もう好きな人がいる」

 「誰かね?」
 「向かいの呉服屋の娘だよ」

 俺がそう言うと父親の顔が、急に怪しい雲の様に
 暗くなった……次に、怒りの雷が落ちた。

 「バカ!よりによって
    商売敵の娘を好きになる奴があるか!
           
     しかも、あの家は京都由来。
          京都の女は、気位が高くっていけねぇ……」

 父親は、畳の上から、立ち上がってガミガミ怒った。
 オヤジ、そんなに怒ると血管が切れるぞ。

「加代さんは、教養があるし性格もそんなに悪くないよ」
 
 俺は、加代さんの良さを必死で訴えた。
 ご主人様のいう事を犬みたいに聞くだけの女なんて絶対嫌だ。 

「イカンイカン、おまえは、あの娘に騙されているんだ」
 父親は、頭を抱えた。

「別に誰を好きになろうと関係ないだろ、オヤジ!」
 加代さんの何処が、そんなに気に入らないのかねぇ?と
  俺は思いながら訴えた。

「だが、あの娘だけは結婚相手としては許せん!」
  父親は、鼻息を荒くして叫んだ。

「俺は、あきらめないぞ!」
 こっちもムキになって、立ち上がり叫んだ。

父親は、我慢できなくなって、
       俺の頭に拳骨を振り下ろす。

「いてぇ!」
 俺は、頭を手で押さえ縁側から駆け下りる。
 頭が、割れそうに痛いぜ!

「こら!話は終わっていないぞ」

父親が言い終わる頃には、俺は庭から姿を消し、
鹿威がコーンと風流に鳴り響いた。

小説のコメントコメント
この作品の著作権は、作者である ぷーでる さんに帰属します。無断転載等を禁じます。

英俊視点で書いてみた。濃尾地震は、史実です。

内陸で起きた直下型地震としては
世界的にも最大級規模の大地震でした。

この時にできた根尾谷断層は地表面に現れたもので
80キロメートルにおよび、断層のずれは
最大8メートルに及びました。

明治じゃないけど、それに近い?
大正時代の岐阜の映像
https://www.youtube.com/watch?v=m1WEUVujLb4
2018/07/02 00:46 ぷーでる



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