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現代小説/歴史小説

『57話: 根は不器用』

比呂よし著



 一年ほども過ぎた頃から、女は新たなパトロンを強いて求めなくなった。何か興味を失ったようで、代わりに以前よりも私へ気を遣うようになった:
「何ヶ月も前から貴方以外の人とは、もう誰とも付き合って無かったのよ」 
 更に、先きを読むように不安気に洩らす事もあった:
「何時か貴方に棄てられるわ、私が重荷になってーーー」

 そんな様子は、女の気持に微妙な変化が起きつつあるのを、私に気付かせた。ある時デートの前日に、私が何気無しに「明日お話をしましょうーーー」というメールを入れた処、それを変に勘ぐって「別れ話の事かと思ったーーー」と、次の日にベッドで心底ほっとしたように女が呟いた。

 ある日曜日の昼下がり、おしゃべりの中で、二週間に一度のデートを毎週にして欲しい、と女は私へせがんだ。女の気持の中に危うさを薄々感じていたので、やんわり断ったら、女は薄く涙ぐんだ。女は、私を好きになってしまったのである。

 そうなると、「セックスは、コミュニケーションの便利な道具よ!」と自身の言っていた神通力が、女の中で通じなくなる。「道具」の位置付けにしか過ぎなかったものが、何時の間にか「愛情」へ変化しているのを女は自覚した。

 こうなると、割り切りであっても、他のパトロン達と付き合うのが、女には苦痛になって来たらしい。普段の生意気な口に似ず、根は案外不器用だったのである。
 計算外の成り行きに、双方が戸惑った。私は女の気持にわざと気付かない振りを通したが、それに応えるかのように、女も自分の気持ちを押し隠して独りで苦しんだ。

 何時も生き生きしていて、確かに魅力的な女ではある。けれども、初めから一貫してこっちは冷静である。女は「素敵なセフレ」であり、手で触われる「美しい芸術品」以上のものではなかった。元々割り切りの約束だったし、普段忙しい経営という仕事もあり、この為に独りで居る時に、私がバレリーナを思い出す事は無かった。

(続く 明日夜)


小説のコメントコメント
この作品の著作権は、作者である 比呂よし さんに帰属します。無断転載等を禁じます。


2016/07/28 21:17 比呂よし



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