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ファンタジー/童話

『魔女集会で会いましょう』

千代華著



見渡す限り、そこには暗い針葉樹とそのうじうじ湿った匂いが広がっていた。際限なく。地面だって、裸足で踏みしめるには少し抵抗があるけれど、まあそこは仕方ないと割り切っている。
 自分がここに残された理由も社会の中での自分の立ち位置も知っているつもりでいた。そんな自分には、家族も何も持つことを許されないのだということも。
「なに、子供?」
見知らぬ声に反射的に顔をあげてみる。 すると、女の人が雨の日でもないのに傘をさして、汚れることを知らないという風な靴で地面を踏みしめている、というのが見てとれた。ポンチョみたいな黒いコートのフードを深くかぶっていたのに、その顔はずっと前にも見たことがある、そんな気がした。微笑んでいるようにも、驚いているようにも見える。街の人たちはみんな僕を見止めると、そんな表情をしていたのを忘れもせずに、今目の前にいる女の人と重ねた。
「悲しいんでしょう、寂しいんでしょう…」
女の人は長い前髪に隠れた額をこつんと合わせて、そんなことを呪文みたいに囁いた。慰められている気持ちになる。
でも生憎、僕は悲しいとも思っていなかった。何をもって悲しいとするのか、寂しいとみなすのか、考えていくうちにある日、空っぽになったみたいに何も感じなくなっていたから。
 やがてぽつぽつと呪文はやんでいき、女の人は飽きたように額をそっと離した。
「ねえ、このままどっかをほっつき歩いて野垂れ死ぬつもり?」
ああ、そうだ。これからのことは考えていなかった。ただ歩いて、誰にも見つけてもらえないようなところで消えてしまうのだと思っていた。
「…もう少し、生きてみないか。私と一緒に」
女の人は笑っていた。その口元に浮かぶ笑みにつられるように、僕は魔女の召使になろうとしていた。
 


小説のコメントコメント
この作品の著作権は、作者である 千代華 さんに帰属します。無断転載等を禁じます。

「魔女集会で会いましょう」というタグが話題になっていたので、それに似た物語を作ってみました。少年視点で進んでいきます。
2018/02/18 13:15 千代華



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