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ファンタジー/童話

『異世界のアリス』

れみか著



何も無い草原。
木の下で本を読む少女は、独り言の様に白うさぎに話しかけた。
「…もし、異世界で私が居るなら。
幸せなのかな?」
ラッパと壊れた時計を手にした白うさぎは、まるで聞こえていないかのように時計を確認した。
あるいは、本当に聞こえていないのか。
そこに、一羽のカラスが降り立った。その羽は真っ黒で、闇を映し出しているようだった。
空が曇り、ポツポツと雨が降る。
青空が灰色の空と変化し、草原が消えていく。
少女、アリスは意識を失い目をつぶった。
昔、滑稽な白うさぎが来た時も、こんな気持ちだっただろうか。
強い気持ちは、異世界にも繋がる。
そんなおとぎ話があった事を思い出した。

目を開けると、周りにゴミや崩壊したコンクリートが散乱していた。
廃墟の国。あらゆる所に鉄格子がある。
ただ、その牢獄に人は居なかった。全員脱走していた。
自由を求めたり、死を求めたり。
泥水がかかり、アリスは顔をしかめた。
空気中には塵が舞い散っている。
失礼だけど、少し桜吹雪に似ている、と思った。
その瞬間、牢獄に捕らえられた少女と目が合った。
少女はあまりにもアリスと酷似していた。
ただ、アリスの金髪は漆黒の髪に、
青空のような蒼い瞳は紅の瞳に。
この世界の、たった一人の住民。
アリスが少女に近寄ろうとすると、少女は強く拒んだ。
「ぼ…ボクに近寄るな!」
怯えたように、顔を歪めた。
その顔には、涙が流れている。
涙は、泥水のように濁っていた。
「どうして?わたしじゃ、力になれないの?」
少女は大きく首を横に振った。
「出来る訳がない…だって、ボクは…」
そして、泣き叫ぶ。子供みたいに。
「…ボクが、アリスなんだ!」
少女の瞳は、黒く濁っている。
「…私もアリスなの。力になれるかもしれない。」
二人のアリスは、ただただ怯えていた。
何に怯えていたのかは未だに分からない。
「君は、ボクの痛みが分かるの…?」
アリスの澄みきった瞳を、痛々しく見つめる異世界のアリス。
そこで、景色が歪んでいった。

気が付けば、アリスは元の世界で、泥沼を覗き込んでいた。
その泥沼は、異世界のアリスが流した涙の固まり。
無意識にアリスは泣いていた。
「ごめんね…私じゃ、あなたの痛みは分からないよ…」
アリスの涙では、泥を水に浄化することは出来ないから。
カラスは、自分は何も知らない、というように
毛づくろいを続けていた。

小説のコメントコメント
この作品の著作権は、作者である れみか さんに帰属します。無断転載等を禁じます。

こんにちは、れみかです。
まふまふ様の廃墟の国のアリスが不思議の国のアリスと出会ったらという前提で書かせていただきました!

2019/03/07 22:10 れみか



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