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ファンタジー/童話

『七緒さんの料理修行(1)』

blue moon著



 ここは日本。神々が集う不思議の国。大和を尊重し、黒髪の民が行きかう町。
 猫目横丁という小さな商店街の一角に、七緒さんの店はある。
 七緒さんというのは、小柄な身長のおかっぱ髪を伸ばした女の子である。
 私はというと、『看板女子』ならぬいわゆる黒い猫。
 雨の中捨てられた哀れな子猫だったの。
 七緒さんが、おじいさんから、このお店を引き継ぐときに、店先に段ボールの中に入れられて、店の前で鳴いていた。
 七緒さんは、何を思ったのか、私をグイっと引っ張り上げる。
「猫目横丁で猫を捨てるなんて、なんて罰当たりなの。猫目神社の神様に叱られるじゃない」
(ニャー、ニャー(猫目神社の神様って?))
 まだ、目も開けられなかった私は、ヒクヒクと腕を伸ばし、七緒さんの成すがままだった。
「おじいちゃん! 今日からうちの店で猫を飼ってもいいでしょう?」
「七緒。猫ってものは不衛生で厄介なものなんだ。捨ててしま……」
「おじいちゃんの考えは古いの。現代では猫カフェがあるぐらいなんだから、今日からうちの店も猫使用でいきます」
「七緒。少しはじいちゃんの話も」
 七緒さんは、突然何を思ったのか、視線を斜めに向けた。
「だったら、店を継がないわよ」
 おじいさんは、骨ばった手をわなわなと震わせた。
「父さんも、母さんも、父さん兄弟も、誰一人後を継がなかった店よ。私の意見が通らないなら私も継がない」
 七緒さんはプイっと頬を膨らませて横を向いた。
 私は、その様子を見て、スルッと七緒さんの腕から逃れると、おじいさんの足元へ、ゴロゴロと喉を鳴らし擦り寄った。
 あんまりにもケンカ殺法では、上手くいくものもいかない。
「私の猫ちゃん。きっとお腹がすいて鳴いているのね。待ってちょうだいね。お手製のオムレツを今作ってあげるから……」
 七緒さんは、鼻歌を歌いながらどこかへ行った。
 しばらくすると、私の前へ皿が運ばれた。
(ニャー、ニャー(これ何? 食べ物?))
 私は一口食べると吐いた。
 硬いダマダマが喉をついた。
 それを見て、じいさんはにやにやと顎を掻いて笑った。
「七緒、見ろよ。お前の作ったオムレツじゃあ猫も食わないってよ」
「ほんとだ。何でよ」
 七緒さんはしゃがんで、私をじっと見た。
 おじいさんは、私たちの見ている前で、卵3つを割ると、器用な手つきで卵を箸で素早く混ぜ、熱したフライパンにジュ―っとした音をさせながら卵を入れ、素早くかき混ぜならトントンと手でかえす。綺麗なラグビー状のオムレツをお皿に入れた。しばらく、冷ますと私の前に置いた。
「おい、猫よ。食べてみろ」
 おじいさんは、私の頭を撫でた。
 私は、おそるおそるおじいさんの作ったオムレツに顔近づけるといい匂いがした。私は、舌をオムレツに近づける。
 チュル。
(ニャー、ニャー(何これ、凄くなめらかで美味しいんですが))
 おじいさんは、にこにこと笑う。
「この猫、味覚ができてるぜ。なあ、七緒。この猫気にいった。飼ってもいい。こいつは縁起のいい猫に決まっている。お前の言った通り猫目神社の遣いの猫かもな」
 今度はおじいさんの方が喜び、七緒さんの方が赤い顔をしている。
 私には何がなんだかわからなかった。


小説のコメントコメント
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2018/11/18 18:50 blue moon



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