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ファンタジー/童話

『魔女集会で会いましょう 終』

千代華著



<青年視点・現在>

あの人は魔女じゃない。
何も不思議なことではなかった。
あの人はただの人間で、魔女はこの世には存在しなかった。
ただそれだけのことである。

なんだかもやもやした。
ずっと俺は嘘をつかれていたということになる。
幼かった自分を、世間から引き離して
森の中、二人だけの世界で生きてきた。

昔のことなど、もう忘れてしまった…初めからなかったみたいに。





「あなたは魔女じゃなかった」と。

そう言ったとき、あの人は狼狽えた。
俺はなぜだか怒っていた。あの人に対して。

『ひどく怒っている……私が、嘘をついていたから?』
 誤魔化すでもなく、かといってそのことについて話すでもなく、
あの人は言った。長い前髪が、彼女の感情を隠している。

あの人は魔女じゃなかった。

だったらどうなる?
元の生活に戻るのだろう、元・魔女は一人になってこの家で。
  俺は………俺はどうすればいい?
ここに来るまで、何をしていた?
__思い出せない、わからない。

  全て、忘れてしまった。
頬を流れる熱を帯びた水。
涙ってこんなに温かかったっけ、
頭の中を、流れるようにいろんな言葉が巡った。





『私は、魔女じゃない。もともと一人、ここで暮らしていた。
 あなたは森の中、独りでいた。
 
  本当のことを言えば、私は独りが寂しかった。だから、
 あなたもここへ連れてきたの。
 昼に比べて夜は冷える、
 置き去りにしたとして、あなたは死んでしまうんじゃないか。
 そう思っていた。あなたは裸足でいたもの。

 あなたといたら、何か変わるんじゃないかと思っていた。
 閉鎖的なこの森の、この家の中で。
 
  でも、私は何も変われなかった!嘘をついたままで、
 あなたは背も顔つきも変わってゆくのに。
 自分は…小さいままで、弱かった。』

 俺は、出会ったばかりのあの人の姿を思い出す。時間はかからなかった。あの人の見た目は殆ど変わっていなかったから。一つ違うところと言えば、今のあの人は涙を流していた。


「出会ったばかりの頃、あなたは強くみえた。……俺に
 名前をつけてくれた、すぐになくなってしまったけれど。
 それが嬉しかった。」

魔女が顔を上げた。崩れゆく視界の中、懸命に記憶を手繰り寄せようとしている。
『思い、出せない』
「……あなたは俺に『オーカー』と名前を付けて
 くれたんだ。」
『…君の姿は目に焼き付いているのに!音がない。
 ……なんて言ったかも、声変わりする前の君の声も
 思い出せない!』
 どうしようもないもどかしさをぶつけるみたいに、彼女は
 拳を窓に打ちつけた。硝子は割れない。彼女の号哭はしばらく
 辺りに響いて、やがてその嗚咽も収まった。

「俺はこの森を出て、『オーカー』として生きていく。
 貴女は…生まれ変わったと思って新しく生きていけばいい。
 …『ヴァイオレット』とか…どう、ですか」



最後の方、君はしどろもどろにそう言った。頬を紅く染めて
それでも喋ろうとする初々しさよ。
どうか、そのままであってほしい。

久しぶりに浴びる陽のひかりにも慣れてきた。
私の名はヴァイオレット。
元の名前?……元の名前など、無いよ。






 


小説のコメントコメント
この作品の著作権は、作者である 千代華 さんに帰属します。無断転載等を禁じます。

一応完結となります。
長らく読んでいただき、ありがとうございました。
長編?というものは自分でも初挑戦で、ストーリーを
一貫させることの大変さ・達成感を知りました笑

2018/11/10 22:06 千代華



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