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『ライフルと機関銃』

高木繁美著



「ライフルと機関銃」

  アメリカの中学校で指導していると
「ここはライフルではなくて機関銃の国なんだなぁ」
 という思った。
 日本では「ゴルゴ13」のような一発必中を評価するけれど、アメリカはまるで違った。
「そんなことが出来るわけがない」
 という前提で何でも進む。だから、不器用な人でも、女性でも、子供でも敵を倒せる銃を考える。つまり、「数撃ちゃ当たる」という哲学だ。
 これは、どんな場面でもそうだった。手に負えない生徒がいたら、日本なら教師が
「何とかせねば」
と頑張るのが普通だ。でも、アメリカは
「そんなことできるわきゃない」
 という立場なので、すぐパトカーが飛んできた。ムリはしない。出来もしないことを求めない。楽なのだ。合理的とも言える。
  日本では強姦されても、加害者の人権を守るとか言って更正させることを優先する。しかし、アメリカでは
「人間は、そんな聖人君子になれない」
 ということで、加害者にGPSを付けて一般の人を守ろうという流れになったりする。私のいた中学校では、教室にホームレスのような服を着た怖い顔のオッサンとスーツを着たオジサンのポスターが張ってあって
「キミはどちらになりたい?」
 と書いてあった。
 日本でそんなことをしたら
「ホームレスを馬鹿にした。人権侵害だ」
 と騒ぎになりそうだ。本当は、みんな大企業につとめている人をホームレスより上に見ているのに、そんな本心を隠したがる。ウソツキ。
 中学校や高校の教師は、もっとヒドイ。
「勉強なんか出来なくても構わない。だから、学力順位は教えられない」
 なんて、ありえない偽善者ぶり。ここ三重県だけの特殊事情かもしれないけれど。
  私は少林寺拳法二段の黒帯だ。もう40年も練習を繰り返している。受験と似ているので性に合う。「頑張りました」では勝てない。勝敗はクリアーだ。どんな言い訳も役立たない。
  拳法では剣や銃にはかなわない。
  そういうハッキリした判断を避けたら、待つのは死だけだ。受験では「不合格」の泣きを見るだけだ。
  私の塾生たちは、学校の課す宿題に批判的だ。同じタイプの問題を繰り返しやらされると効率が悪いので困る。ならば、そう言って改善してもらうのがアメリカ流だが、日本では教師の目を盗んで内職に走る。
 なぜだろう?なぜ、率直に話ができないのだろう?
 日本社会では、全ての人間がデューク東郷のような超人であることを求められる。つまり、教師の言うとおりに従順であり、かつ難関校に合格すること。そんな超人のようなマネが出来るのはほんの一部の生徒だけだ。
  無理なことは無理と言えばいいのに、どうして隠れて勉強しなければならないのだろう。もっとハッキリ言う子も多い。
「あの先生は、旧帝には絶対に合格できない。卒業した大学も三流だもの」
 ならば、校長でも教育委員会でもいいので訴えて教師を変えてもらえばいいのだが、内職した選択肢がない。塾や予備校なら講師を選べるけど、学校では黙って支持に従うフリをするしかない。
 これは、おかしいと思う。誰でもゴルゴのようなスパイナーにはなれない。
  三角形の一つの内角の大きさを尋ねたら
「1382度」
  と答えた生徒がいた。たとえ、計算でそうなったとしても
「おかしい」
  と思うだろう。三角形の内角の和が360度だと知らなくても、分度器が180度までしかないことは小学生でも知っている。この生徒に、どうやって方程式や二次関数の内容を理解させられるのだろう。正直な先生なら(アメリカの先生なら)
「この子は他の生徒の迷惑になるので、別クラスで指導させてもらいます」
「追いついたら普通のクラスに戻します」
 実際に、私のいたローガン中学校はそうなっていた。
 ところが、日本でそういう話をすると
「差別だ!」「人をバカにしているのか」「そんなことしたら傷つくだろう」
 と総攻撃をくらう。だから、
「大丈夫。勉強だけが人生ではないよ」
 と意味不明なことでごまかしていく。社会に出たら、ごまかしが効かないのに責任回避なだけなのに。
 私はブログに父のことや特攻隊のことをよく書く。個人ではどうしようもない戦局の中で、自己犠牲を受け入れた先人には頭が下がる思いだ。しかし、その同じ事態をアメリカから見ると
「そんな聖人君子のような人間が存在するわけがない」
 という哲学なので、
「狂気の自爆テロだ」 
 と見えるのだろう。


作品のコメントコメント
この作品の著作権は、作者である 高木繁美 さんに帰属します。無断転載等を禁じます。


2015/10/06 10:02 高木繁美



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