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『小説と倫理について』

青木 航著



 これは、決してサイトや管理人さんへの不満や批判では無いことを、まず、ご理解頂きたいと思います。
 私がとんでもない勘違いをしているのでなければ、このサイトに投稿したはずの拙作「浅倉新之助始末記」という時代小説が、いつの間にか消えています。
 このサイトに掲載するのに相応しくない内容と判断されての削除ではないかと思っています。
 しかし、それについて、不服や不満を述べようと言うのではありません。それは、主催者の判断で良いと思っています。
 迂闊なことに、掲載基準や注意事項が何処にあるか良く分からず投稿していたので、違反していたとすれば申し訳ありませんでした。

 他の作品を見ると、確かに、中学生くらいかなと思える作品がいくつもあります。
 そう言う意味で配慮が足りなかったことについてはお詫びします。
 今後、掲載する際に、何に気を付ければ良いのかと「浅倉新之助始末記」について考えてみました。

 まず、性的表現は無いので、それは問題無かったろうと思っています。
 次に、新之助が殺される場面の描写。例えば、TV や映画で、主人公が何十人斬り殺そうが、悪役が只倒れるだけだから、誰も不快には思わないし、寧ろスカッとするでしょう。
 しかし、公的な裁きを受けた訳ではなく、主人公の私的制裁、即ちリンチではないのかなどとは誰も考えません。(仕掛人、仕置人シリーズは別ですが)
 なぜなら、エンターテイメントだからです。約束事であり、事実では無いと誰もが、承知しているから成り立つ訳です。
 視聴者は、これでもかこれでもかと憎々しく描かれた悪役が皆殺しにされることで、なかなか思うように行かない現実生活で溜まったストレスを発散できます。或いは、可哀想な人が最後に救われることにほっとします。
 それが、特に時代劇の効用です。
 だから、ばったばったと斬り殺される下っぱ何十人のひとりひとりにも家族があり、何故、命令に従わなければならなかったかなど、特殊な場合を除いて、決して描いてはいけないのだと思います。
 描けば、エンターテイメント性が失われ、主人公の不法行為が明らかになり、大量殺人事件になってしまうからです。
 同じように、描写も形式美を保たなければならないでしょう。
 いくらCG が発達していても、腹がぱっくり割れ、内臓が飛び出し、主人公が顔に返り血を浴びるなどと言う映像は撮れません。スッキリするどころか、万人が不快になるからです。
 そう言う意味で映像エンターテイメントは、歌舞伎のスローモーな立ち回りと同じく、結局、形式美にならざるを得ません。

 殴られることさえ少ない、今の子供たち。 ゲームの中では、毎日何十回も。殺したり殺されたりしているかも知れません。
 しかし、それは時代劇の立ち回り同様、無機質でリアリティーの無い殺人であり、死なのです。
 すぐにリセットできるか、チャージに寄って生き返れます。また、ラノベの世界では、転生は当たり前になっています。死とは何なのかという思索とは無縁の世界です。
 稀に、その世界と現実世界の区別が付かなくなって、事件を起こす者も現れます。

  格闘ゲームでは、避け損なって殴られても悔しいだけだが、現実の世界では、殴られればとても痛い。ゲームの世界では、相手の死も自分の死も無機質でしかありません。
 現実には、即死でなければ、死ぬ前には耐え難い痛みがあるでしょう。苦しさも続くに違いありません。だから、人は死を恐れる。
 それから目を背け、死を無機質に捕らえ、或いはポエムとして美化してしまう事は危険だと私は思います。
 子供には死ぬ前の痛さ苦しさを、むしろ知って欲しいと思っています。
 無菌室に隔離して成長させたラットを、雑菌の中にいきなり放ったらどうなるでしょうか? 多少の雑菌に触れさせ、抵抗力をつけさせながら育てた方が、私はいいと思います。
 殴られた痛みは経験から書けますが、勿論、死の苦しみは想像でしか書けません。しかし、文章としては、死は決して無機質ではなく、美しくも無いことを表現できると思っています。
 しかし、そんなリアルな書き方をすれば、ひとに不快感を与え、青少年に有害なグロテスクな表現になってしまうのだろうかとも思います。

 確かに、多くの投稿サイトではR15指定やR18指定があります。
 映画の世界には倫理規定が有り、審査が行われます。
 しかし、性的表現は別として、それ意外の表現(勿論、個人に対する中傷、誹謗は別として)、を理由に、戦後日本で発禁になった書籍があるのだろうかと思います。
 もし、そういった理由で発禁にするとすれば、その対象となりそうな、刺激的な絵の漫画が世に溢れているのではないでしょうか?。
 表現の自由などと大上段に構えるつもりは毛頭ありませんが、要は根底に何が有るかだと思います。
『薬物はこんなに身体をぼろぼろにしてします』という青少年向けのイメージキャンペーンはグロテスクでしょうか?

 新之助に自殺願望が有るのが不都合だったのではないかとも考えました?
 自殺を扱った小説は山ほど有るでしょう。
 生きる目的を失い、貧困に疲れた新之助が、自殺願望を持つ分けですが、どうせ死ぬなら人の為になる死に方をしようと思うに至ります。
 それが、正しい判断かどうかと問われれば、小説の主人公には、犯罪者も駄目人間も居る分けで、聖人君主の伝記を描きたい分けではないと答える他ありません。
 それとも、最後に悪が勝つような設定がまずかったのかとも考えました。
 言い訳になるかも知れませんが、新之助の仕掛けた罠により、立原隼人は破滅することは想像に難くありません。また、その取り調べの過程で、元新之助の上司であり、出世し江戸留守居役となっている男の悪行も暴かれる可能性は大きいと思います。勝ち誇った笑いは、今だけのものなのです。
 そこまで書くべきだったのでしょうかね。
 ただ、個人的な感覚としては、そこまで書いたら、物凄くつまらなくなりそうな気がしていました。

作品のコメントコメント
この作品の著作権は、作者である 青木 航 さんに帰属します。無断転載等を禁じます。


2019/10/08 03:32 青木 航



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