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『ぬかるみ』

蓮 文句著



これはとある人から聞いた話なので、真偽のほどは不明です。

慎吾が用を足して朝礼に参加した時は、いつものアナウンスメントの途中だった。その後教室に向かう途中、慎吾は健太と遊ぶ約束をした。

健太の家はかなり遠かった。雨の後のぬかるみを歩き、ちょっとした崖のようなところをよじ登らなければならなかった。これは近道だったからかもしれない。健太の家がある一角には多くの家はなかった。健太の家は右から空き地を挟んで三軒目、白っぽいペンキが塗ってあった。

慎吾は、今となっては何をして遊んだのかはよく覚えていない。覚えているのは、途中で遠くにバンドの演奏が聞こえてきたことだ。健太の家は見晴らしの良いところにあったので、かなり遠くのバンドの音が聞こえてきたのだ。

この時、慎吾は初めて演奏会のことを思い出した。すっかり忘れていた。健太によると、今朝の朝礼でも演奏会のことは言われたそうだがそれは慎吾が来る前だったそうだ。慎吾はもう仕方がないと思った。健太は何も言わなかったが少し困惑したような顔をしていた。

その後二人は街に出かけた。途中、慎吾は最近書き物をしている事を話した。ちょっとした悩みや気持ちを書いているのだと言った。うっぷんが晴れるのだと言った。健太は黙って聞いていた。慎吾は健太があまり読み書きをするタイプではないと察していた。突然健太が、「何も書けない時はどうするんだい?」と聞いた。慎吾もそういう時はあった。何も書くことがない時もあった。頭の中があまりに煩悶としていて文章にできない時もあった。書いた後にその表現が心を正直に表してないと気が付くこともあった。慎吾がそんなことを言うと、健太は案外安心したような顔をした。

二人は街の菓子屋まで来た時に、ばったりとバンドの連中に会った。いつの間にか演奏会は終わっていたのだ。中には二人と仲の良い連中もいたので、どうして演奏会に来なかったのか問われた。慎吾は返事が出来なかった。すると健太がすまなそうな顔で、「ごめん。僕が演奏会のことを忘れてしまったんだ。」と言った。バンドの連中は、「次は必ず来いよ。」と言って行ってしまった。慎吾は、健太が自分の気持ちを文章では表せないのがわかったような気がした。

作品のコメントコメント
この作品の著作権は、作者である 蓮 文句 さんに帰属します。無断転載等を禁じます。

原典: http://pathapaz.org/husmonk/ (2018年8月3日)
2018/08/31 19:56 蓮 文句



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